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デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略になります。経済産業省のHPには、以下のように定義されています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービスビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
経済産業省ホームページ
やや堅苦しい表現ですがまとめると以下がポイントです。
- 既存のビジネスの枠組みを整理のもと、最新のデジタル技術を活用
- デジタル技術を最大化するデータ利活用を実現
- デジタル化と言えど、顧客や従業員などステークホルダーの行動・心理を一番に考慮すること
- 1〜3を考慮し、新規ビジネスを創出・イノベーションを実践
デジタル技術の進化とDXについて
近年、スマートフォンを活用して簡単に欲しい情報を獲得したり、アプリを使って利便性や快適性を容易に獲得できるようになりました。例えば、デジタル空間を活用した身近なコミュニケーションサービスとして、Facebookやインスタグラム、LINEなどがあります。それらを用いて自身が得た情報や体験を簡単に共有できます。
さらに、AI(人工知能)やビックデータ、クラウド、IoT(モノのインターネット)などデジタル技術の高度化により、私達が利用するサービスに付加価値をもたらしてくれました。例えば、AIによる意思決定支援をもとに、自身の好みの映画や音楽のレコメンドが受け取れるようになりました。その他、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)を用いて仮想空間上でゲームを楽しんだり、医療現場等での訓練利用にも用いられるようになっています。
このように、DXがもたらした新たな体験は、私達の私生活に大きな影響を与えているわけです。
DXに基づく体験のデザイン
企業がDXを検討する上で、最も考慮すべきは「DXに関与するステークホルダーの体験」です。例えば、以下があります。
- 顧客体験(Costomer Experince)とは、顧客が企業の商品・サービスに興味を持ち、その商品・サービスを利用するまでの一連の体験
- 従業員体験(Employee Experience)とは、従業員が会社の中で働くことを通して得る体験
これまでのIT技術の活用目的は、日常業務の効率化による生産性向上やコスト削減が中心でした。一方で、DXという枠組みでは、ステークホルダーのニーズ応じて、体験やサービスをデザインし、どのようなサービス価値を提供するか、どのような働き方を実現するかという観点が重要となります。
企業はDXをもとに、顧客や社外パートナーとの関係性や、企業内部における業務や働き方、従業員同士のコミュニケーション接点、そして企業の収益モデルも大きく変革できる可能性があります。DXに基づく企業の「あるべき姿」を構想し、企業の組織体制や文化の見直し、社内外問わないイノベーションの実践が今後一層重要となるでしょう。
前置きが長くなりましたが、これからDXの本題に入ります。まず、「DXが注目された背景」を取り上げ、「企業におけるDXの現状と課題」「今後のDXを見据えたデジタル戦略」という順で詳しくご紹介します。
DXの注目背景
DXが注目される背景として、以下2つの例をご紹介します。
- 働き方と組織体制の変革
- 新たな顧客体験の提供(デジタルマーケティングを例に)
働き方と組織体制の変革
まず、大きな観点として「働き方改革」と「組織体制の変革」があります。それぞれは、「業務の効率に関する側面」と「人件費などコスト効率に関する側面」に大きく関わってきます。企業はこれら側面を最適化した組織体制の構築し、働き方改革を実行することが近年の課題です。
例えば、労働人口について考えてみましょう。今後日本は労働人口が年々減ると予想されます。そのため、人材確保は難化し、1人あたりの人材確保にかかるコストも増加していくと言われています。これら課題を解決するための手段として、ルーティンワークな仕事は自動化する、ソフトウェアやシステム導入で労働負荷を軽減する等があります。つまり、「デジタル技術を活用して働き方を見直し、その働き方にあった組織体制を構築すること」が重要となってくるわけです。
具体的な業務例を紹介すると、帳票を紙媒体を用いてアナログな管理をしたり、定型化された業務(メール返信やエクセル等の入力作業)を手動で実施する業務は、働き方改善の対象業務として位置付けられるでしょう。それらはデジタル化によって、紙媒体依存業務をペーパーレス化してコミュニケーション手段の改善できたり、日々のルーティンワークはRPAやSTP等を用いて自動化することで、業務の無駄を排除し、最適な働き方と組織体制を構築できます。
このようにDX推進によって、従業員は時間的制約から逃れ、本来重要とされる業務にコミットできるようになります。いわゆる従業員体験(EX)がこれに該当します。加えて、企業は無作為な人材確保する手間が無くなり、必要な業務に適切な人材のみ配置できるようになり、人件費削減という面でも大きな知恵が得られるわけです。
DXに基づく働き方・組織体制の変革は、企業発展に大きな影響を与えます。「本来必要とされる業務に100%コミットできる」「長時間労働せず、効率的に働くことができる」等社会課題も含め、DXが大きな解決の鍵を握っていると言えるでしょう。
新たな顧客体験の提供(デジタルマーケティングを例に)
近年私たちの消費行動は、モノを所有すること自体に価値を見出す「モノの価値志向主義」から、どのような体験(コト)をもとに、どんなワクワク感や驚きが得られるかを重要視する「コトの価値志向主義」の消費行動にシフトしました。
若者の車離れもあることながら、車はTOYOTA音楽はSony等のようにブランド志向な消費欲求も以前より少なくなっている印象です。メール確認や健康チェックができるApple Watchは、これまで時間を確認することが主な体験であった時計の概念を大きく覆し、時計市場を変革しました。また、自宅でリモート会議ができる(Zoom)なども含め、体験ベースで消費欲求が働くことが近年の消費行動の特徴と言えます。
一方で、商品やサービスの売り手である企業視点で顧客の消費行動を考えた際、どのような観点を考慮すべきでしょうか。例えば、商品宣伝の広告やCMを考えてみます。まず、商品・サービス自体の価値を単純に訴求するプロモーションは、コトの価値が重要視される世の中ではあまり顧客の心に届かなくなってきました。市場競争も激化する近年において、単なる機能や質を強調した商品訴求では、他社との差別化できる要因ではなくなりつつあります。企業は「商品・サービス購入によってもたらされる新たな顧客体験(CX)を考慮し、それを適切に訴求できるか」が非常に重要となってきています。
では一体、企業は顧客に興味を沸き立てるために、どのように価値を提供できるでしょうか。
近年インターネットやSNSなどの電子メディアによって、企業と顧客の接点は飛躍的に多様化し、企業はわざわざ自社のECサイトを立ち上げなくても、販売機会の創出が可能になりました。個々の顧客から収集できるデータも増えたことで、それがビックデータとして蓄積され、顧客行動分析およびマーケティング施策の高度化にも活かされています。マーケティングの高度化は、One to Oneに近いマーケティングを可能とし、広告・宣伝をもとに、個々の顧客が有する興味関心や課題に対して適切なコンテンツを訴求し、自社の製品やサービス購入に誘導することができるようになったわけです。
このようにデジタル接点を活用した顧客とのコミュニケーションをデザインすることで、企業は個々の顧客ニーズに対してより柔軟に対応できるようになり、結果、価値ある顧客体験(CX)を提供できるようになりました。反対に、デジタル接点を活用したマーケティング施策を怠ると、新規顧客獲得が難化し、最終的に市場競争優位性低下により既存顧客減少までも引き起こす恐れがあります。
DX推進に基づくマーケティング戦略の構築は、日々変化する顧客ニーズと競争激化する市場に対応するための重要な企業活動と言えるでしょう。
企業のDXに対する課題
ここまではDX推進の必要性について記載しました。必要性は理解したものの、実際にどうやってDX推進するの?という疑問があるかと思います。ここからはDX推進する上での主要課題の理解を促し、DX実践のためのアプローチも交えて紹介していきます。
まず、企業がDX推進する上で、以下のような課題が認知されています。
- 既存の枠組みへの固執・新しい技術への抵抗感
- ITに対する偏見や誤認識
既存の枠組みへの固執・新しい技術への抵抗感
DXのように、新しい事業やサービスを開始するためには、これまで培ってきた既存の枠組みを見直すことや、既存に囚われない視点が大切になってきます。しかし、既存の枠組みを見直すことは想像以上に難しいものです。
日本企業のDXは先進諸国と比べ進んでいないと言われています。その一つに「伝統に準ずる」という要因があります。伝統とは一見華々しい言葉ですが、言い換えると、「新しい事業転換を阻害する要因」とも言えるわけです。
2020年はコロナ禍の中、「リモートワーク」という働き方が飛躍的に普及しました。しかし、東京や大阪の駅では、コロナ禍においても多くの人が会社通勤していた現状です。「会社に行かないと書類を印刷できない」「セキュリティ対策をしていないため、自宅でPCが使えず、リモート会議が開催できない」「上司から対面の方が物事が進む気がすると言われた」など理由は様々です。しかしながら、少なくともこれらの理由は、既存の枠組みに囚われず、デジタル技術を活用することで容易に解決できるものばかりです。
デジタル技術を活用した働き方改革を進めるにしても、「どうやって新技術を活用して改革するのか」「どの事業部の誰が推進するのか」など実際に考える点は多いのも事実です。目の前の課題を放棄しトラブルを回避したい気持ちが先走ってしまい、既存の枠組みからなかなか抜け出せず、新しいことへの挑戦が消極的になってしまうのです。
ITに対する偏見や誤認識
そもそもITと聞くと、「業務処理を効率化するためだけのツール」と捉われているケースが多く、あくまでビジネスの売り上げとITは別の話と割り切られているのです。その結果、IT技術への距離感が生まれ、「IT?わからない?」が正当化されてしまう現状にあります。
ビジネス成長にITが重要視されるようになったのは、ごく最近のことでしょう。2000年代中盤からスマートフォンやSNSが普及しました。しかしこの頃は、「SNSは若者のブーム」と捉えられていました。しかし近年では、顧客にアプローチする重要なチャネルとして認知され、企業は積極的にSNSを活用するようになりました。また、ここ数年になってやっとIoT、ビックデータ、AI、クラウドなどデジタル技術が認知されるようになり、ITがもたらす価値が大きく変わってきたと言われています。
SNSを普及させたFacebookやTwitter、自宅で買い物ができる体験を当たり前化したAmazon、コロナ禍の中でお店の料理が自宅で食べれるようにしたUber(Uber Eats)など、ITプラットフォーマーと呼ばれる企業は、あらゆるデジタル技術を用いて私たちの生活や体験を豊かにしてくれていますね。ITは私たちの生活には切り離せないものです。ITという概念をもう一度見直すことは、DX推進において大きな好影響を与えてくれるでしょう。
DX推進におけるデジタル戦略の検討
ここからは実際にDX推進を見据えたデジタル戦略についてご紹介します。その中でも適切なデジタル戦略を検討・実施するための留意点を「顧客へのアプローチ」と「社内の働き方改革」の2側面でご紹介します。
顧客へのアプローチ
オウンドメディア
「ウェブサイトを作成すれば商品が売れる」という時代ではなくなってきた今の時代、企業はLPを作成してもそれが商品購入のコンバージョン(CV)につながらないケースが増加しています。ウェブサイトを作る際は、サイト上で得られる顧客体験を十分に考慮し、サイトコンテンツや画面遷移を精緻化することが求められています。いわば、ウェブサイトに足を踏み入れ、商品購に至るまでのカスタマージャーニーを適切に描けるかが課題となっています。
また、ウェブサイトのデザインは、企業イメージに大きく直結するようになりました。少しでも不備があればマイナスイメージが拡散する世の中です。デザインの考慮も欠かせません。
デジタルマーケティング
デジタル戦略実行にあたり、欠かせないものがデジタルマーケティングになります。上記ではオウンドメディアにおけるデジタル戦略について述べました。しかし、いくら素晴らしいコンテンツを有するメディアや顧客体験を創出しても、顧客に認知され興味を持ってもらう機会がなければ、結局のところ宝の持ち腐れ状態になってしまいます。
では、どのようにこの顧客認知の問題を解決するか。この解決策こそが、デジタルマーケティングの活用です。以下、マーケティングファネルの例を示します。
顧客認知度を向上させ興味を引き立てるアプローチでは、自社で保有するウェブサイト等のオウンドメディアだけでなく、Web広告等に該当するペイドメディアやFacebook等のSNSやブログに該当するアーンドメディアの有効活用が大切となってきます。顧客ターゲット層に応じた適切なメディア、適切なコンテンツを適切なタイミングで届けることが求められます。
デジタルメディアについて、もう少し踏み込んで考えてみましょう!商品やサービスを訴求する際、顧客セグメント毎に接点となりうるデジタルチャネルの考慮が必要と述べました。例えば、デジタルネイティブと言われる世代は、Lineやインスタグラム、TikTokがコミュニケーションの中心となっています。もう少し上の年代だとFacebookやTwitterが活用される傾向にあります。
商品・サービスのコンテンツを訴求する顧客セグメントが決まったら、その顧客が属するコミュニティの考慮が重要となります。「顧客体験(CX)を意識したコンテンツ」✖️「デジタルメディア」の組み合わせによって、商品・サービス購入のコンバージョンは飛躍的に改善することができます。
顧客体験(CX)
商品・サービス購入によってもたらされる新たな顧客体験(CX)を訴求できるか。加えて、顧客体験(CX)顧客のニーズや課題解決に対応したものになっているか。結論として、これら要素の検討に尽きると言えます。
まずは、自社の商品・サービスの把握に従事しましょう。そして、商品・サービス利用によってもたらされる価値を顧客目線で考えるのです。顧客目線で考える価値とは、以下の観点が十分に考慮されているかがポイントとなります。
- 感情体験:ワクワク感・心地よさ
- 商品・サービス機能利用体験:利便性
- 自己表現に基づく体験:社会的ステータスの変化・成長意欲
全て当たり前な内容と捉えるとそうかもしれません。しかし、以下の観点しっかり定義できないと、適切に顧客体験(CX)を訴求できないのも事実です。何よりも顧客ファーストを念頭に。これが非常に重要なマインドセットとなります。
社内の働き方改革
ここからは社内の働き方改革を実施し、従業員体験(EX)を改善するアプローチ方法についてご紹介します。ここで主な考え方は、顧客へのアプローチと近しい点が多いですが、大きく異なる観点は、会社の業務単位を軸とし、従業員体験をデザインするという観点にあります。
では具体的にどのように業務を改善し、DX推進の上で従業員体験を向上するか全体像を示します。
既存業務の現状把握
業務を改善しDX推進するためにはまず、既存業務の現状把握が大切です。どのような業務プロセスがあり、各プロセスではヒト・モノ・カネ・データがどのように管理されているのか実態を把握するのです。
ここでのポイントは、いきなりIT導入を考えないこと。業務の実態を調査し、課題を正確に把握しないと、IT導入したからといってむしろ業務量が増えてしまう恐れがあるためです。
あるべき姿検討
既存の業務フローが可視化できたならば、業務上の各プロセスに潜む課題を洗い出す作業を実施します。例えば、経費精算業務はルーティンワークであるにもかかわらず、自動化非対応なため多くの従業員が手入力で対応している。従業員間のタスクやスケジュール管理は全てメールベースであり、管理が煩雑化しているなど。
課題を抽出した後は、業務フローのあるべき姿を考えていきます。例えば、ルーティンワークの自動化やコミュニケーション方法の最適化には、ITとの親和性を考慮し、ITパッケージソフト導入等を検討します。その他、組織構造再設計によるアウトソーシングやBPR(Business Process Re engineering)も対応策の候補になるでしょう。
このように幾つかソリューション候補を検討したら、従業員の働き方改善の視点やROI等の費用対効果の視点をもとに、理想のあるべき業務象とそこで用いるソリューションを評価・決定します。
業務改革実行(IT導入の場合)
業務フローの現状と課題、あるべき姿を定義し、ロードマップ策定まで終わると、実際に業務改革実行フェーズにシフトします。前述のようにIT導入観点では、業務改善の目的及び働き方に合うという視点で実施するのが理想です。加えて、業務全体を俯瞰したときに将来的なROIが見込めるかという観点も非常に重要となってきます。
最後に
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