アソシエーション分析・バスケット分析(併売)とは|マーケティング領域で有効なレコメンド手法を徹底解説

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こんにちは、DXCEL WAVEの運営者(@dxcelwave)です!

以下を理解したい方におすすめ!
  • アソシエーション分析とバスケット分析の概要・違い・活用法
  • アソシエーション分析の評価指標(Support, Confidence, Lift)
  • アソシエーション分析とレコメンド機能の位置付け
目次

アソシエーション分析とは

アソシエーション分析とは、大量のデータから「もしAであれば、Bであろう」という有効な傾向をアソシエーション・ルールとして取り出し、マーケティング等のあらゆるビジネス領域に応用するデータマイニング手法です。

アソシエーション分析の目的は、アソシエーション・ルールという「ある事象が発生すると別の事象が一緒に発生するという、事象間で強い関係性」を見出すことです。

レストランでの注文結果を例に考えた際、アソシエーション分析によって「チーズとパスタを注文する顧客は、高確率でワインも注文する」ことが分かったとします。

この時アソシエーション・ルールは、「チーズ&パスタ注文(対象事象)が発生した際、ワイン注文(別事象)が発生する確率が高い」となります。そしてこのルールは、レストランのメニュー表でチーズとパスタと同じページにおすすめワインを掲載したり、チーズとパスタを注文した顧客に直接ワインをおすすめしたりなど、売上向上に際したビジネス用途に展開できます。

このように「もし○○○ならば△△△である」という高確率で発生する規則性を抽出し、ビジネス現場に応用できることこそアソシエーション分析の価値と言えますね。

アソシエーション分析の活用例

アソシエーション分析は、対象事象が行動記録である全ての事象に対して適用できます。例えば、次のような現場での活用が期待できます。

商品販売商品売上の向上

ECサイトやショッピングセンターのPOSデータをもとに、顧客がどのような商品の組み合わせで購入する傾向にあるか分析。その結果を商品のレコメンドやプロモーション活動に展開し売上向上を狙う。

Webサイト:問い合わせ件数の増加

例えば、マンションの不動産サイト運営に際して、サイト訪問者が同時に見るマンションページの組み合わせを分析。その結果を関連ページとして優先的にサイト表示する仕組みを構築し、マンションの下見・契約に関する問い合わせ数増加を狙う。

対象事象の異常検知

医療電場では、病院での健康診断の結果をもとに、患者の症状を分析。その結果から新たに発生しやすい疾患を予測し、患者に対して事前予防を促す。

自動車などの製造現場では、エンジンや自動車部品の劣化情報を分析。故障しやすくなる条件を抽出し、故障予防の知見として役立てる。

バスケット分析(併売分析)とは|アソシエーション分析との違い

バスケット分析とは、POSデータ等から顧客の購買履歴を調査し、高頻度で一緒に買われる商品の組み合わせを見つけ出すためのデータマイニング手法です。また、アソシエーション分析の手法のひとつがバスケット分析という位置付けです。さらに、バスケット分析はPOSデータの分析手法の1つとして発展した手法でもあり、関係性は上図で表されます。

アソシエーション分析とバスケット分析の大きな違いは、対象事象が指す行動履歴にあります。バスケット分析の場合「商品購入」を対象事象として指定するのが特徴です。一方で、アソシエーション分析は「商品購入」だけでなく「Webサイト訪問」「問い合わせ」など様々な顧客の行動履歴が対象事象になり得えます。

単に指定する対象事象の範囲が異なるだけであり、分析目的はアソシエーション分析・バスケット分析ともに同じであるため、そこまで違いを意識する必要はないでしょう。

バスケット分析|マーケティング応用事例

バスケット分析の結果は、商品の仕入れ在庫数や、販売店舗におけるレイアウトの棚割、併用販売キャンペーン実施にあたるセット商品の選定など、これらを決定するために用いられます。

例えば「週末や祝日にかけてチーズとパスタを注文する顧客はワインも一緒に注文する」ことが分析により分かったとします。その場合、週末キャンペーンと題して、チーズ・パスタ・ワインのセットメニューを販売する特売施策を打つのが有効的でしょう。

また、顧客属性と時系列分析結果をバスケット分析結果に応用すると「20代のカップルは、クリスマス期間にワインをまとめて購入する」といった時間×顧客属性軸での購買傾向も洞察できるようになります。

アソシエーション分析で用いる代表的な評価指標

アソシエーション分析において、アソシエーション・ルールを決定する代表的な評価指標として次のようなものがあります。

  • 支持度(Support)
  • 期待信頼度(Expected Confidence)
  • 信頼度(Confidence)
  • リフト値(Lift)

支持度(Support)

全体の中で、該当の商品組み合わせが占める割合を支持度(Support)と呼びます。

例えば、100件の購買データのうち、60件が「商品Aと商品Bを一緒に購入したデータ」の場合、

支持度 = 60/100 = 0.6です。

支持度が高いと「商品Aを購入すると商品Bも購入する顧客数が多い」と判断できます。反対に支持度が低いと、その事象が指す顧客数は少ないことになるため、一般性な事象では無いと判断できます。

期待信頼度(Expected Confidence)

全体の中で、商品Bが購入される確率を期待信頼度(Expected Confidence)と呼びます。

期待信頼度が高いほど、商品Bを購入する顧客が多いことを意味しています。

信頼度(Confidence)

商品Aが購入されたデータの中で、商品Bも購入される確率を信頼度(Confidence)と呼びます。

商品Aを購入した顧客が60人いた場合、その中で商品Bも買ったことのある顧客が30人いたとします。

この時、信頼度 = 30/60 = 0.5 です。

支持度が低く信頼度が高い場合、「商品Aを購入する顧客は、ほとんどの確率で商品Bも一緒に購入する」ことになります。

信頼度と支持度どちらも高い場合、「大半の顧客が商品Aも商品Bも購入している」ことを意味するため、商品Aと商品Bの率先したクロスセル施策は、マーケティング上そこまで重要ではないと判断できます。

支持度が高く信頼度が低い場合、「商品Aを購入した大半の顧客は、商品Bを購入しない」ことになります。この場合の解釈は2通りあり、「これまで商品Aと商品Bのプロモーション施策ができていなかったのが問題だ。商品Bを併売してもらうようプロモーション施策を打てば、商品Aを購入した顧客は商品Bも購入するようになるだろう」と判断するのか、「商品Aと商品Bはそもそも全く関連しない商品である。そのため、併売販売は向いていない」と判断するかです。

上記のようなケースに遭遇した際、さらに深く解釈する方法として後述するリフト値があります。

リフト値(Lift)|信頼度を証明する手法

リフト値は、商品Aと一緒に商品Bも購入した顧客(信頼度)は、商品Bを購入した全ての顧客(期待信頼度)の中でどれだけの割合存在するのかを示したものです。

つまり、リフト値=信頼度/期待信頼度として表せます。

リフト値が低い場合、「商品Bが単独で購入されている」ことを意味します。この場合、たとえ信頼度が高い値を示しても、商品Aと商品Bの繋がりは小さいと判断できてしまいます。

リフト値が高い場合、「商品Aを購入した顧客は商品Bも高確率で購入する」ことを意味します。

具体的なリフト値の判断基準は以下に示します。

スクロールできます
Lift値解釈例商品AとBの関連性
Lift < 1.0商品Aが購入されていると、通常よりも商品Bは購入されない傾向あり。
Lift = 1.0商品Aが購入有無に問わず、商品Bは同じ確率で購入される。
Lift > 1.0商品Aが購入されると、商品Bの購入される傾向あり。
Lift > 3.0商品Aが購入されると、商品Bの購入確率が3倍以上になる。極大

アソシエーション分析では、支持度、信頼度、リフト値を総合して評価することを推奨します。

協調フィルタリング|アソシエーション分析結果を商品レコメンド手法に応用

私たちがECサイトで買い物する時や、YouTube・Netflixなどで動画を視聴する際、よく商品やコンテンツを「おすすめ」されますね。この「おすすめ」にはレコメンデーションという機械学習技術が使われており、その機械学習技術を構築するためにアソシエーション分析結果が参考にされています。

レコメンデーション

「商品Aを購入したお客様は、こちら商品Bも一緒にお買い上げいただいています」「あなたにおすすめの動画はこちら」という表記を目にすることでしょう。

顧客におすすめ商品やサービスの情報を提供することをレコメンデーションと呼びます。また、おすすめ商品やサービスを提供する機能をレコメンド機能と呼びます。

レコメンド機能をマーケティング領域でうまく活用できると、さらなる商品の売上向上が期待できます。

売上向上施策と題してレコメンド機能を検討する際、重要なのは「顧客に合った商品やサービスを精度よくレコメンドできること」です。

レコメンド機能の精度を高めるための有効手段の1つがアソシエーション分析です。アソシエーション分析によって商品同士の強い繋がりを抽出し、レコメンド機能に適用することで、レコメンデーションの全体の精度向上が期待できます。

協調フィルタリング

レコメンド機能の多くには、協調フィルタリングという仕組みが採用されており、協調フィルタリングの代表的な仕組みとして「アイテムベース」「ユーザーベース」があります。

協調フィルタリングとは、顧客の商品購入・閲覧履歴をもとに、商品をおすすめする仕組みです。おすすめする方法によっていくつか種類が分けられます。

協調フィルタリング概要
ユーザーベース対象顧客と似ている顧客が買った商品・サービスをレコメンドする
アイテムベース現在閲覧されている商品・サービスと似ているものをレコメンドする

補足として、Amazonはアイテムベースの協調フィルタリングを採用していることで有名です。

【アソシエーション分析体験】Pythonによるバスケット分析

最後にPythonを用いてバスケット分析を体験できる記事をご紹介します。バスケット分析を実行するための代表的なアルゴリズムとしてAprioriやEclat、FP Growthなどがあります。

Python×Aprioriによるバスケット分析

Python×Eclatによるバスケット分析

最後に

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