こんにちは、DXCEL WAVEの運営者(@dxcelwave)です!
- プロジェクト管理の「調達の計画・マネジメント」について詳しく知りたい!
調達マネジメントとは
調達マネジメントとは、プロジェクト外部からのモノ(サービス・資材)やヒト(要員)の調達を計画し、管理することを指します。
調達マネジメントの全体像を上図に示します。調達プロセスには、「調達の計画」「調達の実行」「調達のマネジメント」という3つのプロセスで構成されます。
調達の計画には、契約の準備、調達実行には契約締結、調達のマネジメントには、契約の管理と終結があります。
調達の計画
調達の計画ではまず、サービス・プロダクトの開発に際して自社開発または外注要否について検討した後、外注すると決めた場合、調達マネジメント計画書の作成に着手します。
調達マネジメント計画書
調達マネジメント計画書には、調達戦略、契約項目・形態の概略をはじめ、次のような内容を記述します。
- 調達活動
- 調達計画内容
- 調達活動のスケジュール
- 他プロジェクトとの調整方法
- 制約条件・前提条件
- 契約
- 契約形態
- 調達評価メトリクス
- 支払いに際した法的管轄と通貨
- 契約履行保証や保険契約への要求事項の特定を含むリスク
- ステークホルダー
- 調達に関連するステークホルダーの役割と責任
契約形態
発注者側として、希望可能な契約形態について3種類ご紹介します。
定額契約(FP)
定額契約(FP:Fixed Price)とは、納入物に対して、固定の総額を定める契約方法です。
- 契約内容に要求事項が詳細に定義されており、作業スコープの著しい変更が予測されない場合にこの契約形態が指定されることが多い。
- 購入者側の要求事項やスコープ変動が予測される場合、定額契約は、納入者側に方のリスクが大きくなる。
- この契約にはインセンティブを付加するオプションやインフレなど価格価値変動に対応するオプションも追加できる。
実費償還契約(CR)
実費償還契約(CR:Cost Reimbursable)とは、完了した作業にかかった全てのコストに対して、納入者の利益相当分を加えた金額を納入者に支払う契約形態です。
- 契約内容の要求事項が曖昧であったり、作業スコープが著しく変更されることが予想される場合にこの契約形態が指定されることが多い。
- 実費償還契約は、納入者側よりも購入者側の方がリスクが大きいことが特徴的。
- この契約にも納入者側の利益相当分の定義などのオプションが追加できる。
タイムアンドマテリアル(T&M)
タイムアンドマテリアル(T&M:Time and Material)とは、実費償還契約と定額契約の両方の側面を複合させた契約形態です。
- 日本でいう準委任契約・SES契約に該当。
- 正確な作業範囲記述書の取りまとめができない場合、要員補強、専門家の調達、外部支援を目的とした場合に採用されることが多い契約形態。
作業範囲記述書( SOW)
作業範囲記述書(SOW:Statement of Work)とは、必要な作業要求事項を定義した記述書であり、要件定義書の原型のようなものを指します。
作業範囲記述書には次のような内容を記述します。
- プロジェクトにおける作業概要
- タイムラインとマイルストーン
- 成果物
SOWは、納入者側が見積もりを作成するのに必要な情報を含む粒度で作成されることが多いです。
SOWはRFPに付属して納入候補に伝達されます。
RFIとRFP
RFI
納入者の選定に際して、納入候補先に情報提供依頼書(RFI)を送付します。RFIとは、提案書ではなく、該当プロジェクトに関する情報の提供が目的の資料になります。
納入者の選定基準
RFIを送付した納入候補先はRFIに対して回答します。納入者の選定に際して、次のような基準を参考にします。
- プロジェクトの達成能力
- 専門知識
- 関連経験
- 達成に用いる手法
- 会社実績・財務の安定性
- 提案内容
- SOWに対して、提案された計画と手法の妥当性
- 主要スタッフの資格、可用性、コンピテンシー
- スケジュールとコスト
- プロダクト・コストとライフサイクル・コスト
- 納期
RFP
RFI回答からさらに数社に絞り込み提案依頼書(RFP:Request for Proposal)を発送します。このとき入札説明会の案内とともにSOWを添付します。RFPには発注先選定基準を含めることもあります。
調達の実行
調達の実行プロセスは、入札説明会から始まり、納入者を選定、契約を締結することを目的としたプロセスです。そのため、調達の実行の最終結果は「正式な契約の合意」になります。
入札説明会
入札説明会とは、納入候補者の提案書提出に先立って行う説明会を指します。
提案書評価
説明会後の後、納入者から受領した提案書を評価し、交渉の順番を決めるために優先順位付けを行います。
交渉の結果、最も優れていると判断された納入候補者と契約を締結します。
契約書作成
契約締結に際した契約書には次のような項目を記載します。
- 全般的な契約
- 調達作業範囲
- 調達作業範囲記述書
- 主要な成果物
- 変更要求の取り扱い
- 将来の成果物の保証
- スケジュール
- スケジュール、マイルストーン
- コスト
- 価格と支払条件
- インセンティブとペナルティ
- 品質事項
- 検査、品質の記述
- 成果物の受入基準
- その他契約要項
- 保険および契約履行保証
- 再委託の可否
- 解約条項および裁判外紛争解決手続き(ADR)の仕組み
調達のマネジメント
契約書に従って調達活動が開始されます。調達のマネジメントでは、「納入者のパフォーマンス管理」を目的とした活動になります。
契約の終結
契約の終結プロセスとは、調達監査をもとに調達プロセス全体の成功/失敗の特定を行います。納入者側の活動のみならず購入者の活動もレビューし、将来の調達に役立てるよう教訓を収集することが目的です。
契約の途中解約については特別なケースとして、契約書で取り決める必要があります。例えば、仕掛品の取り扱いについては購入者と納入者の両方の権利と責任を定義し、合意を得ます。
最後に、購入者側の調達責任者から公式な文書によって契約の終結を通知して契約を終結します。この手続きは、調達マネジメント契約書で定義された要項に準拠し行われます。
最後に
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